中央が天野委員長

前列中央が天野委員長


先日、朝日新聞で「着物に明日はあるか?」という特集が組まれた。大々的に、7ページにもわたる特集で、様々な角度からきものが置かれている現状を分析し、未来への提言も行っている。

よくよく読んでみると、担当された記者の方々は特にきもの好きだったという訳でもなく、だからこそ非常にフラットな目で、きものの今を観察しているところが素晴らしい。
そして、そんな彼らがそもそもきものを採り上げようと思い立ったこと、また、朝日という全国紙の上層部がこれほどの大型企画にゴーサインを出したことの背景には、「きものに、何かがある」「題材として面白い」、そういう予感が存在したのではないかと思うのだ。

そう、今、そんな風に、きものに惹かれている人たちが増えている。
そもそも和文化全般が見直されているこの10年程の潮流の中で、その一つとして和装に関心を持ち始めた人もいるし、また、もっと単純に、「きものを着てみたい!」「きものって何だかかっこいいんじゃない?
と、ファッションの一つとして憧れを持ち始めた人々もいるだろう。

きもの業界の中にいる人間として、こういった方々とどう向き合うべきか、ということを考える。
きもの業界は、この朝日の特集でも指摘されているように、戦後、社会が洋装へと傾いて行く風潮の中で何とか生き延びるために、高額な礼装商品を販売することを主眼に置いて来た。
けれど、日本人が戦後70年という長期間どっぷりと洋服文化につかり、今やユニクロやZARAなど低価格ブランドを上手に活用してファッショナブルに着こなす世代を前にした時、これまで通りの商売は通用しない。もしも業界がそれを続けるなら、まさしく、きものに明日はないであろう。

私は、このような新しい“きもの関心層”には、ただきものを売りつけようという気持ちで向き合ってはいけないと思う。
例えば、地方のきもの店なら、「お茶を習いたいのだけれどいい先生はいないかしら?」「お茶会に呼ばれてしまった‥!何をどうすればいい?」「今度東京に歌舞伎を見に行くのだけど、手持ちのどのきものならおかしくないだろう?」「この辺で一番いい料亭は?」「高校時代の恩師に気の利いた和のプレゼントを贈りたいのだけど‥

‥そんな、和に関することなら何でも相談に乗る、“和文化ステーション”へと軸足を移すことが必要だと思う。そうやって、和文化そのものが生活の中に動き始める時、自然にきものも求められると思うのだ。
そう、従来の、きもので商売をするという考え方からのドラスティックな転換が必要である。「はい、大島です。いいものです。20万円です。」
と売ろうとしても、新しい世代には全く響かない。「本当にこのきものに魅せられる」と思えるストーリーが存在すること。つまり、背景にある文化とセットになった時に初めて、きものも購入される、ということだ。

一方、東京など大都市では、洋服ファッションと対抗し得る、ターゲットを絞ったセレクトショップの方向を目指すべきだろう。「何でも万遍なくある」のではなく、自らスタイルを提唱し、ファンを開拓出来る店だ。

きもの業界は、これまでの催事販売中心のスタイルから脱却しなければならない。市場分析とマーケティング手法とを確立し、市場を選別した上で、物作りと販売のチームを構築する。きわめて困難な道ではあるがこのように考える時、一つの回答が見えて来るのではないだろうか。そのメインテーマは、“新世代向けのカジュアルきもの”ということ。きものの明日はここにあると確信している。

  • きものNightCOREDO室町1三井ホール 10/8(木)9(金)
  • 企画展「きもの100体スタイリズム」江戸桜通り地下歩道 10/8(木)~10(土)
  • きもの企画展&SHOWCOREDO室町1三井ホール 10/9(金)10(土)
  • きものマルシェYUITO日本橋室町野村ビル 10/7(水)~9(金)
  • オリジナル小型印サービス 10/7(水)~10(土)
  • 日本橋を愉しむ<きもの割引> 10/7(水)~10(土)
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