創業万延2(1861)年。154年の歴史を誇る大阪の老舗足袋商「ゑびす足袋 本舗」が、サローネ「きものマルシェ」にやって来ます!
五代目である白記澄子さんは、弱冠四十代。基本の白足袋を大切に受け継ぎながら、楽しい柄足袋やレース足袋、冬にはふわモコレース足袋や一見革製に見える色足袋、また、驚くほど汚れの落ちる足袋ブラシなど、新商品の開発にも積極的に取り組んでいます。
老舗を受け継ぎ、変革して行く、その心意気について伺います。

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サローネ(以下、S)―― 「ゑびす足袋」さんは関西ではかなり有名で、定番的な足袋メーカーだと伺っていますが、関東にはこれまであまり進出されていないですよね。今回、そんな老舗にご参加頂き大変光栄に思っています。

白記―― ありがとうございます。今年私が五代目を継いだのですが、それまでは北海道から沖縄まで、関東は弱めではあったのですが全国各地の呉服屋さんに足袋を卸させて頂いていました。また、デパートなどの催事に呼んで頂き、足袋のお見立て会を行っていたんですよ。

S―― ということは、お店は持たずメーカー専業として展開されていたのかと思いますが、今は大阪に素敵なショップがありますよね?

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白記―― はい。今年私が会社を継いでまず実行したのが、現状分析だったんです。その結果、世間に出回っている足袋の種類があまりにも少なく、自分の足に合う足袋が見つからない“足袋難民”の方が多いことが分かりました。そこで、お客様のご都合で足を運べて、しかも気軽に来やすい雰囲気の空間を、と、アンテナショップを開いたんです。
その後、東京で採寸会を開いてほしいとのお声をたくさん頂いたので、西麻布で採寸会を行い、今回のサローネは、弊社発信で参加させて頂く初めてのきものイベントですね。

S―― “採寸会”と言うとフルオーダーのようですが、そうではないんですよね?

白記―― はい。弊社の財産は、代々がこれまでに残して来てくれた、こだわりの詰まった足袋のヴァリエーションです。
1サイズに対して平均13種類の型があり、サイズも細かに展開しています。型作りや縫い方は、履いた時の姿の美しさにこだわり抜いた独自のもので、生地についても肌触りよく長持ちするよう、特別誂えしたものを使っています。だから90%以上のお客様の足型に対応可能なんですよ。

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S―― 例えば甲高の方や足がすごく細い方、逆に幅広の方、それから、外反母趾の方など、様々な足型のお客様がいらっしゃると思いますが、ありものの型で大丈夫なのですか?

白記――絶対とまでは言いませんが、ほとんどの場合はご対応可能です。
弊社は150年間、何万人もの日本人の足を採寸してデータ化して来ました。特に三代目である祖父が、戦前・戦後できものから洋服へ、つまり草履から靴へと日本人の生活スタイルが変化したことで足の形も変化していることに気づき、その変化を分析して来ました。足の人間工学を研究して来られた教授にも参画して頂いた本格的な分析です。そうやって作って来た型ですから、ほとんどの方の足にご対応可能なんです。

S―― なるほど。日本人の足を知り抜いた型が揃っているんですね。

白記―― もちろん、非常に特別な足型のお客様にはフルオーダーも対応しますが、ほとんどの場合は既存の型で快適に履いて頂いています。
例えば、外反母趾の方には、軽い状態であれば「ふじ」「まつ」「つばき」「ふよう」という「伸縮型」の型で対応出来、症状が重い方には「やつで」という商品でご対応可能ですね。

S―― それは心強いですね。

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白記―― はい。セミオーダーの良いところは、完全お誂えと比べてお安い値段で自分の足に合った足袋が手に入ることだと思います。フルオーダーだと型から作る訳で、どうしても高くなってしまいますから。

S―― 本当ですね。私もサローネ当日、ゼヒ採寸して頂きたいです。

白記―― 是非!お待ちしています。

S―― ところで、「ゑびす足袋」さんは基本の白足袋を大事にしていらっしゃると同時に、色足袋や別珍、それからレース足袋など、ヴァリエーション豊かな商品展開をされていますよね。

白記―― はい。すべて昨年から始めた試みで、基本的には弊社のアンテナショップか、オンラインショップ限定の“musume(むすめ)”“ dansan(だんさん)”というブランドでの展開です。ヴァリエーションを増やしているのは、こだわりの詰まった白足袋を残すためなんですよね。近年きもののスタイルも変化して来ているので、足袋も白だけではなく、様々に楽しめる環境を作りたいと思っています。そうすることで、屋号を守って行きたいな、と。

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S―― なるほど。レース足袋、すごくかわいいデザインでほしくなります。夏の足元にちらりと見えていたら、とてもおしゃれですね。

白記―― ありがとうございます。履く人だけではなく、見る人にも涼しさを感じて頂けるデザインにしました。

S―― そして今回のサローネには秋冬の新作をお持ち頂くと聞いていますが、どんな商品なのでしょうか?

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白記―― 一つめは、“革?足袋”です。

S―― “革”と“足袋”の間に“?”と疑問形が入るんですね。

白記―― はい。これは、一見革に見える生地で作った布足袋なんです。内側の生地は高級ネルを使っているのでとても暖かいんですよ!デザインも、デニムの着物をはじめとする近年のオシャレ着物にはピッタリだと思います。

S―― 本当ですね!

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白記―― 二つ目は、昨年Facebookと店頭でこっそり販売してみた“ふわモコレース足袋”で、今回のサローネで正式デビューします。内側のこのふわふわモコモコした生地は、吸湿すると4℃上昇するという優れた機能が特長で、暖かさも履き心地も抜群です。今年から、キャラコでもお作りしています。

S―― 本当にとても暖かそう!

白記―― 三つめは、実は今年はまだテストスタートの少量生産商品で、写真も今はないのですが、“あったカバー足袋”。膝下丈のハイソックスのような足袋なんです。

S―― わあ、ありそうでなかった足袋ですね。足のかなり上までしっかり暖まりそう!当日、サローネ会場には実物を持って来て頂ける訳ですね?

白記―― はい。外側の生地が、綿のカバー足袋。内側は起毛された生地で、膝下まで癒されるような暖かさです。全体にストレッチが効いているので、脱ぎ履きも簡単なんですよ。

S―― 冬のきものの一番の難点は足元が寒いことですが、この三つの新作はその困りごとに見事に応えていますね!

白記―― そうなんです。私自身が冷え性なので、冬の足元の寒さが耐えられず、職人さん泣かせの素材を見つけてはボツ、見つけてはボツを繰り返して、商品化に至ったのが不思議なくらいの足袋たちなんですよ。その甲斐あって本当に暖かく、全商品、ステテコなどと併用して頂けば防寒はばっちりだと思います。

S―― 北国のきものloverさんなんか、防寒に一苦労されていますものね。これは朗報ですね。
また、ずっとこちらが気になっていたのですが、このミニほうきのような形の商品は‥?

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白記―― “足袋ブラシ”です!

S―― 足袋洗い専用のブラシということですか?

白記―― はい。足袋って歯ブラシで洗っている方が多いと聞きますが、正直言って汚れが落ちないですよね?

S―― はい。かなり力を入れてがしがし洗いますが、なかなか‥

白記―― ですよね。私は弊社を継いでから、とにかく毎日足袋を履くことにしたんですね。「洋服の時でも足元は足袋!」ということで過ごしていると、とにかく汚れるんです。
でも、やっぱり白いきれいな足袋を履いていたいから、市販の足袋ブラシと言われているもので洗ってみるのですが、洗う時に出て来る茶色の泡や液体、それから小さなゴミ…こういうものと一緒に白い足袋を洗うことがためらわれて…。
そこで、世界中のたわしやブラシを試してみましたが満足出来ず、オリジナル商品を作りたいと思うようになりました。ブラシを作るメーカーさんや工場を回り始めて‥

S―― ブラシ工場?足袋とは全く畑違いの分野ですが、何かコネクションをお持ちだったのですか?

白記―― いえ。汚れが落ちるブラシを作りたい一心で、ネット検索などをして自分でアポを取って回りました。

S―― 白記さん、すごい!

白記―― 一つ念頭にあったのは、ナイロンなど化学系のブラシでは生地を傷めてしまうなということで、天然繊維にこだわりを持っていました。そんな中で最終的に出会ったのが、このサボテンの繊維なんです。

S―― すごい!試行錯誤の末にやっと意中の素材と出会えたんですね。

白記―― はい。もともとフランス製のボディブラシに使われている繊維で、だから木綿にもやさしいんですよね。いくらきれいに洗えても、すぐ足袋がダメになるのでは仕方ないですから。

S―― 確かにそうですね。

白記―― もちろん繊維の間に入り込んだ汚れもしっかり掻き出して、力を入れることなくみるみる汚れを落としてくれるんです。実はお坊さんの奥様にも好評で、と言うのも、護摩焚きなどの煤でお坊さんの白衣のたもと部分がすぐ黒くなってしまうそうなんですね。その汚れも面白いくらいに取れると喜んで頂いています。カッターシャツなどの衿首汚れもよく落ちると好評ですよ。

S―― それはすごいですね。しかもデザインがとてもおしゃれで、使うのが楽しくなりそうです。

白記―― ありがとうございます。実は私、五代目を継ぐまで、プロダクトデザインとは少し違いますが広告デザインの仕事をしていまして、楽しんで作業しました。

S―― そうなんですか、どうりで素敵な訳ですね。

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白記―― もともと私は会社を継ぐ予定ではなかったのですが、父が引退を考え始めて後継者がなく「このままではのれんが消える」という時、気づいたら走り出していました。

S―― そうなんですか。こうして江戸時代から続くブランドが守られて行くのだと思うと、とても感動しますね。これからもゼヒ、伝統の商品と新しい商品、きものファンのために作り続けてくださいね。

白記―― はい。ありがとうございます。サローネでは足袋の販売とお見立て会の他に、トークショーも致しますので、ゼヒ皆さんに聞きに来て頂けたら嬉しいですね。

S―― どんなお話になりそうですか?

白記―― 自分の足に合った正しい足袋選びのコツや、そもそも何に気をつけて足を測ればいいのか、それから、粋な足袋の履き方など、お話しするつもりです。

S―― 楽しみにしていますね!今日はありがとうございました。

「ゑびす足袋 本舗」は、10月7~9日、YUITO野村ビル5F会場の「きものマルシェ」に出店。7日(水)16時からと8日(木)14時からは同会場で、着付け師の吉澤暁子さんと足袋に関するトークショーも行います。

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  • きものNightCOREDO室町1三井ホール 10/8(木)9(金)
  • 企画展「きもの100体スタイリズム」江戸桜通り地下歩道 10/8(木)~10(土)
  • きもの企画展&SHOWCOREDO室町1三井ホール 10/9(金)10(土)
  • きものマルシェYUITO日本橋室町野村ビル 10/7(水)~9(金)
  • オリジナル小型印サービス 10/7(水)~10(土)
  • 日本橋を愉しむ<きもの割引> 10/7(水)~10(土)
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