美しいカラートーンと繊細なレース使い、それでいて実用新案認可も取得した、優れた機能性。美しさと使い心地とを兼ね備えた和ランジェリーブランド「Wafure」は、2009年、尾上博美さんがたった一人で立ち上げました。
その尾上さんは一方で、日本舞踊「尾上流」の師範でもあります。
そう、「Wafure」の優れた機能性は、きものの所作を知り尽くした尾上さん自身の体験から生まれたのです。
10月8日、サローネステージで、トークショーと日本舞踊を披露くださる尾上さん。本インタビューでは、当日、「美しい日本の所作と心」と題してステージで語られ、舞われることの予告編となるお話をおうかがいします。

サローネ(以下、S)――尾上さんにはたくさんおうかがいしたいことがあるのですが、まずは、こんなに美しくたおやかな女性が、たった一人でブランドを起業した、ということに驚いてしまいます。きっかけは日本舞踊だったとお聞きしましたが‥

尾上――はい。私は三歳から日本舞踊を始めて、今日まで40年以上稽古を続け、今では自分の教室も主宰しています。
これまでの道のりを振り返ると、最初は子どもらしくお稽古の後に頂くお砂糖入りの麦茶が目当てで通っていたのですが、後には、例えば手や足が良い位置に来なければ師匠にぴしゃりと扇子で叩かれる、時には蹴られることさえある‥そんな非常に厳しい教えを受けて来ました。

S――そうなんですか。日本の芸の道は大変厳しいのですね。

尾上――日本舞踊は西洋のダンスと比べればゆったりと舞うので、一見優雅に見えますよね。でも、白鳥が水面下で必死に水を掻いているように、一曲舞えばきものが汗でびっしょりと濡れてしまうような、激しい舞踊なんです。
その中で、例えば、手をこの位置にこう上げたいと思った時に、なめらかに動かない。どうも裾さばきが悪くて足が思うように進まない。そんなことが度々あって、どうしてだろうと考えると、下着が原因なのではないかと思い当たったんです。

S――下着の素材が悪いせいで、手や足がスムーズに動かせないということですか?

尾上――はい。例えば、長時間舞って肌襦袢が汗で湿ると、滑りが悪くなって足さばきに影響が出たり、おしりも同様に滑りが悪く、思うように腰の位置が決まらなかったり。
また、素材だけではなく、ブラジャーのパターンが悪いために腕が思うように動かないということもありました。和装は筒型の体型を理想としますよね?和装ブラジャーは胸をつぶして平らに見せようとしますが、締め付けがきつくて体が疲れてしまうんです。

S――尾上さんは日本舞踊という最もハードなシチュエーションで和装下着を着続けていた訳で、だからこそ、普通の人が「何となく着づらいなあ」とぼんやり感じるだけに終わってしまう欠点を、はっきりと見破ったのでしょうね。

尾上――そうですね。もっといい和装下着はないかと様々なものを試しましたが、これだと言えるものに出会えませんでした。それならばもう、自分で作ってしまおう、と。
だって、水泳の選手は、どんな水着を着るかでタイムがぐんと変わるから、水着の素材や形をすごく研究していますよね。日本舞踊にも同じことがあっていいはずだし、それに日本舞踊をしている私がいいと感じるなら、他の方にとってもきっと快適な下着であるはずだ、と。

S――本当にその通りですね。でも、それまでにアパレル会社に勤めるとか和裁が趣味だったとか、何か縫製に関する知識はお持ちだったんですか?

尾上――いえいえ、全く。理想の下着を作りたい一心で、様々な伝手をたどってパタンナーさんを探し、もう、怒られながら開発して行きました。

S――どうして怒られてしまったんですか?

尾上――パタンナーさんにこう言われました。「尾上さん、普通、下着の新商品の開発は3回作ればパターンが決定するものですよ」って。でも、私は、「まだここをこうしたい」「ここのラインをこう変えたら着心地はどう変わるんだろう?」と注文を出して、7回やり直しをしてもらったんです。

S――そうだったんですか。もう、“情熱”と言うしかないですね。

尾上――そうして出来たのがこの「カメリア」というシリーズです。それまでの和装ブラジャーのように胸を圧迫して平らにつぶすのではなく、左右の肉を柔らかく包み込んで前に寄せる、という考え方で設計しています。だからなだらかな自然な胸の形になって、しかも苦しくない。従来にないコンセプトだということで、実用新案に認可されました。

S――素晴らしいですね。

尾上――もう一つ、足さばきやお尻の滑りが悪いという問題は、からまない素材と、それから、胸から腰、そして足へと続く下着のパターンそのものを吟味して、「肌Jupán」という肌襦袢を完成させました。

S――きれい!という感想が思わず口からこぼれる商品ですね。「Wafure」が素敵なのは、機能の追究から出発しながら、このレースといい、デザインといい、見た目が本当に美しいことですよね。

尾上――ざっくばらんに言ってしまうと、それまでの女性下着って、全く色気がなかったでしょう?もう、「スポーツブラなの?」というようなデザインばかりで。

S――確かに。上物にはきれいなきものや帯をまとっているのに、脱いでみるとかなりがっかりなかんじでした(笑) 。

尾上――ええ。きっと男性も、脱がせたら「あらら」となるような、色気ゼロの品物でしたよね。いわゆる“勝負下着”の要素が全く欠けていました。

S――本当ですね。

尾上――それに、そういう下着では、女性自身も着ていて楽しくないですよね。女性って、きれいなものを身につけることで気分が高揚して、その日一日幸せに過ごせてしまうものだと思うんです。

S――はい!同じ意味で、もう一つ「Wafure」で素敵だなと思う商品は、紐類なんです。腰紐と、仮紐。こちらも普通は無地のモスリン製が一般的で、そっけないことこの上ないものが多いのに…

尾上――「Wafure」の腰紐はレース使いでかわいいでしょう?仮紐はすべりの良いポリエステル製で、繊細な草花模様を織り込んでいます。

S――この仮紐、色も中間色のグレーやオレンジで、うっとりする美人さんですね。

尾上――ありがとうございます。もちろん、機能の面でもしっかりと開発をしていて、もう、縫製屋さんが涙を浮かべるほど厳しく検品しています。「仮紐は、この一本で一生大丈夫」、そう言い切れるくらいしっかりと縫われているんですよ。

S――しかも仮紐は後からすっと抜くものだから、滑りの良いポリエステル製がいいんですよね。さすがだなあ、と。

尾上――私自身が誰よりもハードなきものユーザーですから。

ozaki

S――本当ですね。そんな尾上さんは、10月8日のサローネステージではどんな曲を舞ってくださるのでしょう?

尾上――女性が人を想う、その狂おしいまでに強い心を表現した『鐘ケ岬』。他にもう一曲をまだ思案中です。箏の菊央雄司さんに来て頂き、生演奏をバックに舞うんですよ。

S――それは贅沢なひと時ですね!曲と曲との間にはトークショーもして頂けるのですよね?

尾上――はい。「きものサローネ」ということで、皆さんきものに興味をお持ちですよね。その中で、私はよく「どうすればきもので美しく振る舞うことが出来ますか?」と訊かれるので、美しいきものの所作ということについてお話ししようと思っています。

S――それは本当に伺ってみたいです。何と言っても、きものでの振る舞いを知り尽くした尾上さんですものね。

ozaki01

尾上――日本舞踊と言うと、手をこういう位置に持って来て、腰をこう曲げれば美しく見えるんでしょう、と、表面的に捉える方がいらっしゃるのですが、そうやって形だけ真似ても決して本当の美しさには到達しないと思っています。では、美しい所作はどうすれば生まれるのか?そこのところをお話ししたいと思いますので、聞きにいらして頂けたら嬉しいですね。

S――それは本当に楽しみです。今日は長時間のインタビュー、ありがとうございました。

尾上博美さんの日本舞踊&トークショー「美しい日本の所作と心」は、10月8日(金)20時より、COREDO室町1‐5F、日本橋三井ホール「きものサローネ Classic Night」にて上演します。
また、10月8日(木)-10日(土)、「Wafure」商品を三井ホール会場にて展示します。サローネが初お披露目となる、2015年Autumn最新カラーも登場!10月11日(日)-12日()には高輪の「Wafure」事務所でフィッティング会を行うため、サローネ会場で気になった商品をお試し頂くことも可能です。フィッティング会の詳細・ご予約は下記URLよりご覧ください。
http://wafure.com/index.html

「Wafure」ホームページはこちらから
more

「Wafure」Facebookファンページはこちらから
more

  • きものNightCOREDO室町1三井ホール 10/8(木)9(金)
  • 企画展「きもの100体スタイリズム」江戸桜通り地下歩道 10/8(木)~10(土)
  • きもの企画展&SHOWCOREDO室町1三井ホール 10/9(金)10(土)
  • きものマルシェYUITO日本橋室町野村ビル 10/7(水)~9(金)
  • オリジナル小型印サービス 10/7(水)~10(土)
  • 日本橋を愉しむ<きもの割引> 10/7(水)~10(土)
  • チケット購入
  • サローネ出展者と出演者をもっと深く知るためのインタビュー&コラム