パレスチナ女性による手刺繍の帯
パレスチナ自治区の難民キャンプに住む女性たちによる手刺繍の帯です。
パレスチナ刺繍とはパレスチナ女性の民族衣装に施された刺繍で、農民や遊牧民の野良着の補強から発祥したと言われています。
昔のパレスチナでは女性は誰もが刺繍をし、自らの花嫁衣装も作りましたが、現在は紛争と現代化の影響で限られた女性しか刺繍をしません。
パレスチナ女性の経済的な自立支援・パレスチナ文化の継承を目指しています。
総刺繍の袋帯は約半年、お太鼓柄の名古屋帯は約1-2か月かけて刺繍をします。文様は全てパレスチナの伝統柄。パレスチナの女性たちは日々の生活や身のまわりの自然、神話などを刺繍で表現してきました。糸杉、ベツレヘムの星、老人の歯、フライパンの中の4つの卵、鳥の羽などなど、たくさんの文様があります。昔はシリアなどの絹糸で刺繍しましたが、現在はコットン糸を用います。いつか絹のパレスチナ刺繍を復興させたいです。
パレスチナ刺繍は度重なる戦争を乗り越え、いまも戦火の中、女性たちは刺繍を作り続けています。「ビーズと糸杉」「バラとハサミ」といったパレスチナ刺繍の伝統柄を帯に刺繍しました。難民キャンプの女性たちが、多くの困難を乗り越えながら、帯を刺繍しています。
撮影:2024年8月 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマラのアマリ難民キャンプ
「ビーズと糸杉文様」帯の着用イメージです。きものサローネ2024では、このようなお太鼓柄の名古屋帯を取り揃えています。
右側のトルソーが着用しているドレスは20世紀初頭にパレスチナのジャッファ(現在はイスラエル)で作られた民族衣装で、麻地に絹糸でふんだんに刺繍が施されています。
パレスチナ刺繍帯プロジェクトの「アタラシイ」一品
PRODUCTS帯を刺繍している女性たちが住む難民キャンプには住所がないため、日本から帯地を発送することができません。主な帯はパレスチナで調達できるシリア産のコットン地を用いています。そのほうが、女性たちがイニシアチブをもって帯づくりができるからです。今回はあたらしい取り組みとして、日本より絹の帯地を手荷物で持ち込み、難民キャンプの女性たちに刺繍をしてもらいました。その帯をきものサローネで初披露します。